組織間の対立解消事例 STEP1.対立の概要

組織間の対立解消事例 STEP1
営業部門と仕入部門の対立解消
今回は営業部門と仕入部門の間に生じていた対立を解消した実例を紹介します。
状況:営業部門からの要求と仕入部門の混乱
営業部門から仕入部門に対して以下のような無理な要求が常態化していました。
- 「急な発注が入ったからすぐに仕入れてほしい」
- 「すでに発注した商品を別の商品に変更してほしい」
- 「受注がほぼ決まりそうだから前もって商品を仕入れておいてほしい」
これらの要求が頻繁に寄せられた結果、仕入部門では以下のような問題が発生し業務が混乱していました。
- イレギュラーな対応に追われ通常業務に支障が出ている
- 仕入れ先に頭を下げる必要があり担当者の負担が増大
- 売れないリスクのある在庫を抱えたくないという不満の発生
お互いの不信感により改善策にも効果が生まれない
営業部門側は「お客様からの要望であり必要なことだから会社として当然対応すべきだ」という考えでした。
そのため「必要なのに対応してもらえない」という不満が募り、仕入部門への不信感を強めていました。
一方で仕入部門は混乱の原因となる無理な要求が続くことへの不信感を感じており、
不満を募らせ営業部門の要求に応えたくないという思いが強くなっていました。
こうした背景から経営層が調整に入ってもお互いの不信感は解消されず、
ルールを設けても営業部門からのルール外の要求が絶えず、状況は改善されませんでした。
本質的な対立解消のポイント
このような組織間対立を解消するには単なる仲介やルール化だけでは不十分です。
本質的な解決には以下のアプローチが必要です。
- 客観的事実を深掘りし整理・共有した上でルールを制定すること
- それぞれの事情と利益を理解した上でお互いが納得すること
このように「相手がなぜその要求をしているのか」「なぜ応えられないのか」といった背景に向き合い、
当事者同士が納得すること、事実に基づいたルール制定を行うことが対立解消のポイントです。
他の部門の対立でも対立解消のポイントは同じ
今回は営業部門と仕入部門の事例ですが他の部門の対立でも対立解消のポイントは同じです。
どのような部門同士の対立であっても
- 客観的事実を深掘りし整理・共有した上でルールを制定すること
- それぞれの事情と利益を理解した上でお互いが納得すること
が対立解消には必要です。
これら無しで対立解消を進めても後戻りしてしまうことが多いため
この2点を意識し対立解消を進める必要があります。
次からは今回の対立をどのように解消していったのか具体的な解決のプロセスを紹介します。