■仕事の理解が遅い部下に対して

■仕事の理解が遅い部下に対して

部下の理解が遅いのも人間関係の問題

部下の仕事の理解が遅く、
どう説明しても仕事を理解してもらえない場合も
実は職場の人間関係の問題であることが少なくありません。

職場の人間関係を改善しないと解決できない

どんなに簡潔に仕事の内容を説明しても
中々理解せずにミスをしてばかりの部下というのは
どんな大企業であってもほとんどの会社にいるものです。
はじめのうちは上司が説明の仕方を工夫したり
勉強や経験により解決したりしようと試みるのですが
たいていの場合うまくいかず、
何年たってもミスしてばかりのダメ社員となってしまいます。
うまくいかないのは職場の人間関係が原因だからです。
そのため人間関係を改善しない限りその問題は解決できません。

職場の人間関係が悪いと脳の負担が増える

職場の人間関係が悪いと人間はまずは周りの人に認められようとします。
説明された仕事を理解して完了させる以外に
自分が周りの人から認められるためにはどうすればよいか
自分が周りの人からダメだと言われないためにはどうすればよいか
これまでダメだと言われたことを繰り返さないためにはどうすればよいか
といったことを無意識に考えます。
特にこれまで何度もダメだと言われてきた人は
自分がこうすればいいと思って行動してきたことに対して
あれもダメ、これもダメと言われてきているので
「自分はこうすればいいと考えているけれど今回もダメなんだろう。
だったら自分が今考えていること以外のことをしなければ。」と
あれこれ頭を巡らせることになります。
結果として脳の負担が非常に大きくなり
簡単なことも理解できずにミスをしてしまいます。

頭のメモリがいっぱいになっていることが原因

このように、部下の仕事の理解が遅い原因は
脳のメモリがいっぱいになっているためであり
その根本原因として最も多いのは職場の人間関係です。

職場の人間関係が生み出す負のスパイラル

人間は誰でも「自分の仕事を認めてもらいたい」
という思いを持っています。
職場で「お前の仕事はダメだ」と何度か言われた程度なら
次は認められようと努力をするのですが
何度も言われ続けるとどう努力すればいいか分からなくなります。
何度も「自分がいいと思った方法をダメだと言われた」ので
「自分がいいと思った方法ではだめだ」
「それ以外の方法でやらないと」という思いが強くなり
何を基準に考えればよいか分からなくなっていきます。
「もっと考えないと」と頭の負担が大きくなっていくばかりで
有効な方法には行きつかず、ミスを繰り返してしまいます。
「次はちゃんとやろう」「もっとしっかりやろう」
と思えば思うほど頭のメモリがいっぱいになっていき
余計仕事の質が下がって行くという負のスパイラルに陥ります。

負のスパイラルを抜け出すことが第一歩

部下の頭のメモリがいっぱいになっている状態に対して
「もっとしっかり教育しよう」
「もっとしっかり行動してもらおう」
といった頭の負担を増やす方法は逆効果です。
まずは負のスパイラルを抜けることを第一歩としましょう。
ポイントは「最低限の仕事で良い」ということです。
「最低限の仕事だけでもしてもらえれば職場としては助かる。」
「その部下の仕事は十分役に立っている。」
「その部下がしてくれてみんな助かる。」
というベースを作りましょう。
そうすればそこから正のスパイラルを回すことができます。

仕事の理解が遅い部下への対応方法

頭のメモリがいっぱいになっている部下に対して
どう対応すれば負のスパイラルを抜け出せるかを紹介します。

最低限の仕事をはっきりさせる

普段何気なくやっている仕事を一度掘り下げてみます。
そうすると
「職場が助かる最低限の仕事」と
「それに加えてできるとより良いプラスαの仕事」
に分けられます。
その中から「最低限の仕事」だけを抜き出して任せるようにします。
そうすれば少ない負担で仕事ができるようになります。

最低限の仕事に対する意識を変える

仕事をする上では完璧主義で物事を考えがちなので
「職場が助かる最低限の仕事」と
「それに加えてできるとより良いプラスαの仕事」
の両方がミスなく完璧にできて当たり前、
といった意識を多くの人が自然と持っています。
その考えではこの状況は改善できません。
まずは基準を「職場が助かる最低限の仕事」のラインにまで下げて
「職場が助かる最低限の仕事」ができれば合格。
「それに加えてできるとより良いプラスαの仕事」ができればなお良い。
という意識に変えていきましょう。
そういう目で見直してみると
最低限やるべきだと思っていた仕事の多くが
「それに加えてできるとより良いプラスαの仕事」であることに気づくと思います。
そうやって「職場が助かる最低限の仕事」の基準を引き直し、
職場のメンバー全員がその最低限の仕事を達成できていれば
まずは職場としては問題ないという意識に変えていきましょう。

一度に伝える量を最低限にする

仕事の理解が遅い部下に対して
一度の会話で伝える量を最低限にしましょう。
あれもこれも説明してやってもらおうというのではなく
「これだけでもやってほしい」ということを伝えましょう。
「職場が助かる最低限の仕事」さえ明確にできていれば
自然と部下に伝える量も減ってくるはずです。

できる仕事から1つ1つ成果を認める

このようにミスなくできる最低限の仕事から
1つ1つ任せて成果を積み上げていきましょう。
小さい成果でも具体的に職場がどう助かったかを伝え
仕事の成果を認めていくようにすると
徐々に職場の人間関係も改善していき
その部下の脳の負担も減っていきます。
それを繰り返すことで徐々に理解度も上がっていくでしょう。

まとめ

部下の仕事の理解が遅く、仕事のミスが続くことの原因は
職場の人間関係であることが少なくありません。
職場の人間関係が悪いと、
自分の仕事を認めてもらうために脳の負担が大きくなり
余計にミスを誘発してしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。
「職場が助かる最低限の仕事」を明確にし、
仕事の負担を下げて仕事の成果を認めることで
正のスパイラルに転換していく必要があります。


次の記事:■怒りっぽく扱いにくい相手に対して
前の記事:■部下に何を話していいか分からないとき


職場の人間関係.comでは
職場の人間関係を良くする方法を紹介しています。